Contents
部下を信頼した社長の末路
関西のある建築会社で、集客とは別の部分で5ヶ月ほど定期的に内部の観察依頼を受けたことがあります。
依頼の目的はネット上の便利なツールなどITシステムの導入がメインだったのですが、その中で僕がどうしても気になった部分が1つだけありました。
それは、経理担当が帳簿付けから入出金まで全てを1人でやっていたこと。
短い期間とはいえ銀行で働いていた僕は、この部分がどうしても気になって「負担を減らすなどの理由をつけて、入出金か帳簿付けを別の人に担当させてください」と事あるごとにお願いしていました。
しかし、社長は「俺は社員に全幅の信頼をおいているから」と繰り返すばかり。仕事の振り方を変えると信頼を失うと考えているようで、仕方なく僕はITツールの導入を進めたのち、そのままコンサルを終了しました。
その数ヶ月後、社長から連絡がきました。残念なことですが、決して少なくない額の横領が行われていたことが発覚したそうです…。
社員を犯罪者にした社長の罪
関西はセミナーなどでよく行くので、近くに行った際に寄ってみたところ、社長はかなり落ち込んでいるようでした。
信頼していた部下に裏切られたのですから、それも当然でしょう。でも、あえて厳しい言い方をしますが、経理担当の社員が犯罪者となったのは「犯罪を起こせない仕組みを作らなかった」社長の責任でもあります。
「お金に関する業務は、必ず複数人に担当させる」
銀行ならずとも多くの会社が当たり前に実践している横領の防止策を、怠っていた社長の責任は重いです。
ただ、部下を信頼した社長の人間性は素晴らしいものがありますし、その部分は変わってほしくありません。では、このような場合、どのように仕組みを作るのが正解だったのでしょうか。
性善説と性悪説を使い分ける
僕がIT会社でカバン持ちをさせてもらった時に「なるほど!」とおおいに参考になった考え方があります。それは
「社員には性善説で接する。だけど、仕組みは性悪説で作る」
というもの。
会社の仕組みは、漏れがあると絶対に良くないことが起こる。だから性悪説で、悪いことができない仕組みを作る必要があります。
でもその仕組があれば悪いことはできないのですから、自分のところの社員を思い切り信じて接することができる…。
普段は集客のことを中心に教えてもらっていましたが、こういう部分も教えてもらえるのは本当にありがたいと感じました。
社員がメリハリを持って働ける環境を用意しよう
今回はお金に関する仕組みでしたが、仕事に関しても仕組みやルールを上手くつくることで、社員が緊張感を持ちつつも伸び伸び働けるようになります。
リーダーシップだの社長の魅力だのも大事ですが、まず根底に必要なのは「会社がうまく回る仕組み」です。
あなたの会社では、社員が緊張感をもって働ける仕組みができていますか?